【6/11締切】令和7年度第3回金沢工業大学IDESメンバーシップ講習会開催のご案内

公開日: 2025年5月19日

■プログラム■

15:30~17:00

講演『物流倉庫建築物と収納する荷物を安価に保全する一簡法』

金沢工業大学 地域防災環境科学研究所

教授 山岸 邦彰 氏


【概要】

去る令和7年3月に、南海トラフ巨大地震で想定される最大クラス地震における被害想定が公表された。それによると、最大で死者29万人、経済損失270兆円と予想されている。政府地震調査委員会によれば、この未曾有の災害が今後30年以内に80%程度の確率で発生すると予想している。経済合理性とあってはならない人的被害の折り合いの付け方が分からないまま月日だけが過ぎている。各分野の専門において、できるところから対策に取り組むことにより、将来起こり得る国難に立ち向かうべきと考える。

講演者は建築構造の専門としており、今次、物流倉庫建築物を対象として、建築物自体の保全と、格納された荷物の保全とを両立するディバイスを考案した。本ディバイスは、床スラブ上の敷板の滑動を利用した物であり、地震エネルギーが敷板の滑動に伴う摩擦エネルギーにより消散されるため、建築物の層間変形角を減少させることができる。また、荷物の加速度応答が減少するため地震時積載荷重を低減できる可能性があり、積載荷重の大きな倉庫建築物において部材数量の低減を図ることができる。本講演では、このディバイスの特徴と具体的な設計例を提示する。